心理学とは、科学的手法を用いて人の心の中や心のしくみを可視化(データ化、言語化)し理解する学問です。
心理学を理解し応用することで、社会全体ではよりよき社会システムの構築、改善に役立てたり、個人では対人関係の向上やストレスマネジメントなどに役立てたりすることができます。
人の心は、人間の目で直接見ることはできません。
たとえば心臓の場合、手術や解剖を行って人間の目で見たり、触ったり、組織を採取して分析したりできます(医学)が、心の場合、見たり、採取したり、組織を直接分析することができないため、間接的な手法が考え出されてきました。
哲学的探究
古くから行われてきたのが哲学による心の探求です。
その歴史はとても古く、紀元前、古代ギリシャ時代のアリストテレス1)やその弟子のプラトンまで遡ります。昔の人たちも心に対する関心は高く、目に見えない「心」を調べるために、哲学的な探求を試みていました。
心理学の誕生
19世紀になると科学の発達に伴い、心の研究に科学の考え方が取り入れられるようになってきます。
1879年にドイツの哲学者ヴィルヘルム・マクシミリアン・ヴント2)(Wilhelm Maximilian Wundt)は、自身が教授を務めるライプツィヒ大学(Universität Leipzig)に心理学実験室を開設しました。
これまでの哲学的な主観メインの探求から、より客観性を重視した科学的、実験的手法をはじめて取り入れたことにより、心理学という学問分野が正式に誕生し、心の研究は大きな転換点を迎えることになりました。
心とは何かを探求する学問は何千年も前からありましたが、心理学はまだ誕生してから150年も経っておらず、比較的新しい学問分野だといえます。
心理学という学問の急速な発展
比較的新しい学問分野でしたが学者をはじめとする人々の心理学への関心は高く、科学技術の発達も相まって、わずか150年のうちにさまざまな心理学の分野が現れました。
社会心理学、臨床心理学、発達心理学、教育心理学、学習心理学、犯罪心理学、等々、細かく分類すると数十種類もの学問分野に細分化されます。
それは心理学が人間の心と(それを反映した)行動という、社会活動の根本の部分を研究しているからで、ほぼすべての人間活動の領域が研究対象になり得るのです。
社会が多様化、複雑する中、ますます心理学に対する要求は高まっていくでしょう。
脚注、参考文献
1)アリストテレス『心とは何か』(ペリ・プシュケース/Perì Psychês)
2)現代の心理学の先駆け的存在で、心理学の父と呼ばれている。